2012年 05月 14日
・・・始めに書いておく。『旧支配者のキャロル』は高橋洋の最高傑作というだけでなく、今年の日本映画の中での傑作の一つに数えられるだろう。『恐怖』を散々貶した自分が言うんだから間違いはない、というかごめんなさいですよホントに。少なくとも、映画がデジタルかフィルムで撮られているのか、などということに注視する人間は、必見。
Movie will return , mankind will learn ―『旧支配者のキャロル』
この映画は、何故これほどまでにフィルムに拘るのか。フィルムが切れてしまったならば、HDやデジタルカメラに変えてしまえば済む話なのではないか。ツイッターでそのような疑問を呟いている人がいた。しかし、それは必然だったはずだ。何故なら「旧支配者」という言葉は、フィルムの画面に映る大女優であると共に、またそれを掌握しようとされる「映画監督」であるヒロインであると共に、いやそれ以上に、デジタルカメラにとって変えられつつあるフィルムと映画それ自体の事をさしているという、途方もない寓意が込められなければならないのだから。
画面に刻み込まれる自分に固執する女優の台詞に顕著だが、この映画は改竄が容易ではなかった時代の、永久に残りつづけるものだったはずのものとしての「映画」ないし「フィルム」と、そこに自らの痕跡を残さんとする人々を描いた作品である。その意味でデジタルの画面の中で安易に明滅し、消滅してしまう身体を描き出していた鶴田法男『王様ゲーム』と対をなしている作品であるといえるかもしれない。(その鶴田は、「リアルな映画」ではなく「映画なリアル」を描いた作品であるという言葉でこの映画を評していた。この言葉ほど、この映画を的確に表している言葉はないだろうと思う)
More
Movie will return , mankind will learn ―『旧支配者のキャロル』
この映画は、何故これほどまでにフィルムに拘るのか。フィルムが切れてしまったならば、HDやデジタルカメラに変えてしまえば済む話なのではないか。ツイッターでそのような疑問を呟いている人がいた。しかし、それは必然だったはずだ。何故なら「旧支配者」という言葉は、フィルムの画面に映る大女優であると共に、またそれを掌握しようとされる「映画監督」であるヒロインであると共に、いやそれ以上に、デジタルカメラにとって変えられつつあるフィルムと映画それ自体の事をさしているという、途方もない寓意が込められなければならないのだから。
画面に刻み込まれる自分に固執する女優の台詞に顕著だが、この映画は改竄が容易ではなかった時代の、永久に残りつづけるものだったはずのものとしての「映画」ないし「フィルム」と、そこに自らの痕跡を残さんとする人々を描いた作品である。その意味でデジタルの画面の中で安易に明滅し、消滅してしまう身体を描き出していた鶴田法男『王様ゲーム』と対をなしている作品であるといえるかもしれない。(その鶴田は、「リアルな映画」ではなく「映画なリアル」を描いた作品であるという言葉でこの映画を評していた。この言葉ほど、この映画を的確に表している言葉はないだろうと思う)
More

