show must go on!! - 『バーレスク』 |
口パクで踊りを主体にしたショーに生の歌声が加わり、それによってショーの中心が変わるという物語の流れや劇場の支配人と衣裳係の関係など、サイレントからトーキー時代の移り変わりを描いた映画のパロディ(のようなオマージュのような)を散りばめつつ、そこにあった清濁をすべて見せてしまおうという心意気がこの映画にはある。
『雨に唄えば』のように大雨の中で唄えなくともその底抜けの明るさはちゃんとこの映画に受け継がれているし、『サンセット大通り』ほど夢破れた現実を受け入れられない人々の哀しさが表現されているわけではないが、それ故にむしろワイルダーの軽妙な語り口とユーモアの影響が見て取れる。
そして、ゼロ年代のミュージカルとしてそれらを纏め上げている、クリスティーナ・アレギラの歌声と各ナンバーの良さ。
ゲイネタの多さなどアイドル映画かよ、っと突っ込みたくなるし、実際彼女がダンスの実力を証明するシーンなんてカット割り過ぎで噴飯ものなのだけど、それらに目を瞑ってもいいと思わせる声量とコケティッシュな魅力があって、彼女を中心とした映画作りも納得できるものがあって。
冒頭のシーンから「彼女の歌」を主として「踊り」を副とすることは示されていて、実際もうちょっとナンバー中の踊りを長めのカットでじっくり見せてほしい、という不満があったりもするのですが、
そういった歌もの寄りのミュージカル映画の中でも、狭い空間の中での創意工夫に満ちたラストナンバーは素敵でした。
・・・『トロン:レガシー』共々サントラが欲しいと思う映画に新年そうそう連続で出会えて、余韻を引きずってしまって、嬉しい悲鳴。