運命の車輪 - 『アウトレイジ・ビヨンド』 |
そして、『エクスペンダブル2』の悪役陣とラングレンが出てくる『ユニバーサルソルジャー 地獄の黙示録』はちゃんと観に行こうねみんな!ジョン・ハイアムスの前作、『ユニーバサルソルジャー リジェネレーション』は快作アクション映画ですよマジで。ソダーバーグもあれを観て総合格闘家を使ったに違いない。
運命の車輪 - 『アウトレイジ・ビヨンド』
何かとてつもないものをみた、という感覚に圧倒された。実際、この映画に対して何を言っても嘘であり陳腐にしかならないので、とにかく観るべきだ、としかいえない。
『アウトレイジ』が顔面についての映画だ、という話は前作のレビューでしたので割愛する。今回は、その顔面どころか人体さえ覆い隠す「車」が死体と共に浮かびあがってくる場面と、『アウトレイジ』の五年後の勢力図を警察が語り出すナレーションからはじまる訳だが、この車が、そのまま権力闘争というものを表象する地獄の機械であるかのように描写されているのだ。
権力闘争の最初の犠牲者である中尾彰が車に乗せられて大阪に赴き、殺された後も、死体が車に「載せられた」状態で放置され、それ以降、主要人物のほとんどが自動車に乗ったが故に殺されるか、自動車に乗ったまま殺されていく。そして、ヤクザ達はその運転を任されることはほとんどなく、まるで自らの運命を操作することが出来ずにただ流れに身を任せているかのように、後部座席で居心地の悪そうに佇んでいる。そのことが、権力闘争とはただ巻き込まれる人を次々に手招く機械のようなもので、その中で人々はただ死にゆくだけである、そういった空虚さを示してはいないか。そしてそれは、『アウトレイジ』後半の顔を覆い隠しての殺人描写とも繋がっているといえるが、今回は顔どころか身体さえさらされることなく車の中で死ぬ男たちによって、前作で描かれたことが強固に反復されているといえる。また、「音」が先行してアクションが起こったことを観客に示し、画面が映されたときには、そのアクションの「事後」、終わった結果しか映されていないという描写が『ビヨンド』では何度も繰り返されるが、(石原の手下が殺される場面を思い出して欲しい。銃声が響きわたり、気づいたら石原の部下はすべて殺されていたはずだ)そのようなアクションの終焉、つまり死のみを取り出して映し出す画面には、権力闘争に巻き込まれた登場人物たちの無力さがにじみ出てしまっている。
そして、その「車」に、権力闘争という運命の車輪にヤクザを乗せようとする男こそが、片岡であるといえるだろう。
北野演じる大塚は、最初片岡の車に乗ることを拒否するが、それは大友が権力闘争を避けようとしていたことを端的に表している。しかし、片岡の画策で前作で大友が面子をつぶした木村や彼の手下と出会い、彼らが権力闘争に巻き込まれ木村の手下が死んでしまったことを契機に、大友は権力闘争と復讐劇に乗り入れることになる。そして、その権力闘争の中で、大友の振る舞いと暴力だけ異彩を放っているという構成の妙が光る。
殺されたものの身体もろくに撮られずに、事後ばかりが映されていく殺人描写の中で、大友のそれだけは、「アクション」として画面に映される。一度目のボディガードに自白をさせる「覆面に穴をあける」場面などは、前作で顔を隠されたまま死んだ椎名桔平演じる部下に対する弔いのようにさえ見えるが、石原との「野球」を経て、空間設計の名手としての手腕を遺憾なく発揮した本来のスローモーションを使った会長との邂逅で、その情感としか呼べないものがアクションと共に立ちこもっていくのだ。ヤクザ映画から情感をぬぐい去った前作に続いて、今作でもそういったものと無関係なものとして権力闘争が描かれているにも関わらず、この映画は後半になればなるほど、ヤクザの情感や恨みなどが際だつ構成になっているのだ。1の流れの巻き戻しのような構成のであるが、それを、ただの権力抗争としてしかヤクザのそれを見てない片岡のナレーションが語る。しかしそれは「真実」とは言えないのだ。特に、大友と木村が杯を交わす場面では、二人の実際の情感を片岡は「面子」や「情」、「義理」といったキーワードによって矮小化してしまう。その剥離は最後、ラストシーンによって決定的なものであることが明らかにされることになる。
「車」を扱った映画としては『ドライブ』をたやすく超え、1ショットや1シークエンスに並々でない緊張感を漂わせている。北野映画の中でもベストクラスの大傑作。
「あ、この人も出てる、この人も出てる」的な興奮から
「クリスマスやガンナーにまた会えた!」って言う興奮に変わってることが嬉しくって、
今回はどんなにグダグダしててももう何も気にならなかったんですよね
あ、アウトレイジも最高でした この秋のシネコンは賑やかですね
ユニヴァーサルソルジャーまだ続編出てたんですか。。。w
最近未公開コーナーやホラーコーナー行くともう何見ていいのかわかんないです、
ただ色んなパッケージ眺めてニヤニヤしてます.
テリー・クルーズとランディ・クゥートアの出番が全くない・・・。(TwT。)これに尽きますです。
ドルフ・ラングレンのコメディ・リリーフ役や、2.5枚目位の本来のステイサム、そして悪役のナルシスト全開なヴァンダムなど、キャラクターと俳優の使い方自体には文句ないというか最高なのですが、出来ればスタローンに監督して欲しかったなっていうのが本音だったりします。スター俳優多くて仕方ない部分もあるのですが。
ユニバーサルソルジャー、1から全部追っている訳ではないですが、職人監督のピーター・ハイアムスの息子の総合格闘技オタク、ジョン・ハイアムスは要注目です。エクスペンダブルズ3は彼が撮って欲しいと思う位格闘アクションが素晴らしい出来で。『エクスペンダブルズ』の後夜祭だと思って(笑)是非観てくださいな。