やるべきことは多いのだが |
今日、「CUT」というロキノン系列の映画雑誌でティムバートンのインタビューを読んだ。ティムの全作品についての回想、という自伝を読んでいる人間にとってはほとんど収穫のないインタビューなのだが、なんせチョコレート工場関連ではじめてティムのインタビューを見たのでちょっとうれしくなって立ち読みしてしまった。(今までジョニーデップのインタビューしか見かけなかったんだ・・・)
んで、彼のフィルモグラフィーって奴を眺めていて、近年家族愛が彼のテーマになったことによって前よりも前面に出るようになった彼の魅力について考えていた。
「おばあさんをとても魅力的に撮れるところ」だ。
ファンの人は「何をいまさら」と思うかもしれないし、評論家の人はそれは作家性というよりも彼の趣向と取るべきものだと思うかもしれない。
でも僕はそれを「作家のやさしさ」のステータスだと思っている。
記憶をさかのぼってみて、老人、特に女性を魅力的に撮れている映画を探してほしい。まず老人を描いている映画がかなり少ないことに気がつくと思う。それが「オタクの映画」に絞るとバートンと宮崎駿ぐらいしか僕の記憶からは思い浮ばない。ただし宮崎の描くおばあさんには「性」の匂いがほとんど感じられないし、最近は偏屈なばあさんしか彼の作品に登場しなくなってしまった。ハウルのヒロイン?あれはお婆さんを描いたなんていえないよ。
よほどのトンマじゃない限り、美女を奇麗に魅力的に撮ることはできる。しかし、身体は衰えてしまった女性をあれだけ肯定的に撮れる監督はそうそういないはずだ。リメイク前では科白もないチャーリーのチョコレート工場で出てきた寝たきりのおばあさんやビックフィッシュでの印象的なバスタブのシーンなど、最近のバートンのそういう部分が僕は大好きだ。彼から大衆への憎悪が薄れたところで、そういう部分で彼がただの消費する商品を作る人間にはなってないことは確かだと、僕は信じている。
ところで、今消費社会にどっぷり浸かっている僕らの世代は、将来ああいった魅力的な老人になることができるのだろうか・・・。なんだか今の女性のかなりの人数が偏屈なお婆さんになりそうで怖い。
ああ、やっぱ長い文になっちまったよw