10月は |
でもまぁ、結果もつらいことと同じくらい出せたし、状況が良くなる前触れみたいなのを月末に感じることができたりした。11月は、それを消さないように努力しようと思う。
オーシャン オブ ファイアー
「アラブのレースの中で、純血統のアラブ馬を雑種である馬とネイティブ・アメリカンと白人のハーフである男が打ち負かす」というこの映画が「多民族国家であるアメリカの勝利を讃える映画」なのか「ナショナリズムへの猜疑心を表明している映画」(注1)なのか判断しかねる。
ただ、インディアンの虐殺で始まるこの映画が1度だけ見せた「自由の女神」は皮肉が込められたものだったように見えたし、主人公はアラブの世界の中でカウボーイからネイティブ・アメリカンへと自分のアイデンティティを取り戻すわけで(注2)、少なくとも前者に取られない程度のバランス感覚をこの映画は持っていたと思う。(少なくとも、植民地主義が見え透いて気持ち悪い『硫黄島の手紙』なんかよりは)
しかしこんなデリケートなテーマを持つ作品でさえアクションシーンを入れて、泣きたくなるような雄大なシーンで映画を終わらせたジョー・ジョンストンは、やはり活劇の申し子だなぁ・・・。
(注1)ナショナリズムは純血であることを重んじる。そしてこの映画では、純血を重んじる人間はことごとく卑怯者として描かれる。
(注2)レースを続けていくうちに彼は酒やカウボーイハット、といった小道具を落としていく。、カウボーイの象徴である銃を人に上げることによって、彼はカウボーイという偽りのアイデンティティをすべて捨て「青い子供」としてアメリカに帰っていく。
これらの事柄はほとんど小道具を使ってただ画面に示されるだけだ。主演のヴィゴ・モーテンセンがどう見ても白人とインディアンのハーフには見えないため、この変化がわかりにくいことこのうえないのがこの映画の評価を下げている気がしないでもない。ってか、ネイティブ・アメリカンの問題は、いまいち実感が沸かないんだよなぁ・・・。『父親達の星条旗』を観るまでは、この映画の主人公がネイティブと白人のハーフであることの重さ、ってのもピンとこなかった。