変態ピエロ |
変態ピエロ
この映画、元ネタであろうマーティン・スコセッシの『キング・オブ・コメディ』さえ超えているんじゃないかと思った。カンヌのオープニングに相応しい傑作!
『キング・オブ・コメディ』が誰にも見られることのなかった人間のワン・ナイト・スタンドを描いた作品だとするなら、この作品は誰もに見られ、レッテルを貼られてしまった人間のワン・ナイト・スタンドを描いた作品だ。(外面がテーマであることはクロヴィス・コスタが本物かどうか、という描写から明らかだろう。彼の内面がどうであれ、外から既定されれば本物、ということになってしまうのだ。)
舞台俳優だったはずのピエール・フォレは、そういった舞台の中で脚光を浴びることなく、テレビ番組の観客の盛り上げ役に成り下がっていた。ピエールは「ピ」として、ハイテンションな演技で観客を笑わす一方で、自分が求めている「自分」と周りが求めている「自分」とのギャップに苦しみ、その歪みから狂気へと落ちていく。
「本当の自分はこんな道化じゃない」
「本当の自分をもっとみんなに知ってもらいたい」
そういった気持ちから「国民的歌手クロヴィス・コスタ」を誘拐し監禁する。果たして彼の真意とは。彼の本当の姿とは・・・。
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