ひらがなで書かれた小説 |
この映画の中で映画的な、絵になっているといえるシーンはたった一度、主人公の全身に刺青が刻まれていることが明かされる瞬間だけだ。それ以外、この映画で目を見張る構図、美しい画なんてひとつたりとも出てこない。一見斬新に見える物語がただただ平坦な画面によって延々と語られていく。
「こんなの映画じゃない」
「演劇をそのまま持ってきたって映画にならない」
などといわれ続けている三谷幸喜の作品でさえ、この映画に比べたらよっぽど画のありようや1カット1カットの流れのことを考えているよ!・・・とさえ思ったのだけど、ネットを観てみるとやたら好評価なので驚いた。いくら時系列をかき回したとしても、この映画の「映像作品としての貧困さ」は隠せないと思うのだが・・・。少なくとも話の筋よりも一画面一画面の美しさで映画を評価している自分としては、この映画は最低だった。