・ネットフリックス限定配信の『サイレンス』が今一(この話、60分で終わるだろ、というのと、主題的に新しくもない。)で、世評があまり高くなかったペキンパーではない方の『キラーエリート』が予想よりかなり良かった。(トニー・スコット的というとほめ過ぎか。)
・最近、バッファローポンタみたいな顔しながら日常を過ごしている。連休明けとか地獄なんじゃないか、と思ってしまう今日この頃。無為に忙しいよぅ…。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ボーダーライン』
五列に連なる漆黒の車の列が街に飲み込まれるように消えていくのを見てしまった後から始まる、アメリカ映画の歴史をなぞるような地獄巡りに、ただただ息を飲むばかりだった。
彼岸での自己の選択を問うという主題と、神の視点と呼ぶべき俯瞰ショットは、イーストウッドのそれだろうし、メキシコの国境で混沌の象徴に出会う観る者という図式、その人を突き放した眼はコーエン兄弟『ノーカントリー』を彷彿とされる。或いは、超規的な殺人鬼によって捜査官が画面の向こう側に広がる無秩序へと誘われる構図に『羊たちの沈黙』を連想するかもしれない。ただ、これらの「映画史」からの引用を連想させながら、ほとんど引用元を発展させた映画となっており、驚きを禁じ得ない。底の見えない、大蛇のような映画だ。
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